ホイッスラーが好み惹かれていた日本趣味(ジャポネズリー)的な要素

スズコちゃん

2017年11月20日 17:03

 モデルを務めたクリスティーヌ・スパルタリの表情。フリーア美術館(ワシントン)の孔雀の間(ピーコック・ルーム)マントル・ピースの上に飾られている本作は、女流画家マリー・スティルマンの姉であるクリスティーヌ・スパルタリをモデルに日本の伝統的な着物を着た姿を描いた肖像画的な全身女性像作品である。

 日本の伝統的な着物の模様。日本趣味が醸し出す東洋的雰囲気とモデルの西洋的雰囲気の類稀な融合性は特筆に値する出来栄えである。また画面全体は黄色味が支配しつつも、床面の緑色や茣蓙・着物の深い藍色、腰帯や屏風に朱色など混在となる色彩の調和と統一感は見る者に強烈な印象を与える。

 ホイッスラーが好み惹かれていた日本趣味(ジャポネズリー)的な要素。本作に描き込まれた鮮やかな黄色と深藍色の着物や朱色の腰帯、菖蒲(アヤメ)など日本伝統の花々が描かれた団扇、屏風、東洋的な茣蓙、陶磁器などはホイッスラーが好み惹かれていた日本趣味的な要素が顕著に示された良例である。