2017年12月30日

オーヴェール=シュル=オワーズの首吊りの家

 
 後期印象派の巨匠ポール・セザンヌ初期の最も重要な作品のひとつ『オーヴェール=シュル=オワーズの首吊りの家』。

 セザンヌがガジェ医師と共にオーヴェール=シュル=オワーズに滞在した1873年に制作され、翌1874年に開催された第1回印象派展へ出品された本作に描かれるのは、パリ北西の地≪オーヴェール=シュル=オワーズ≫の風景で、画家と親しかった印象派の巨匠カミーユ・ピサロや、フィンセント・ファン・ゴッホも同地で制作活動をおこなっている。

 画面最前景には村の中心へと続く田舎道が突然画面左から横切るように大胆に配され、その道の先には二軒の家が左右対称的な位置に配されている。画面の中央やや上部分に空いた空間には中景として村の家々が、さらに遠景にはオーヴェールの景観と青々とした空が広がっている。  


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2017年11月30日

野性味に溢れた原色的な花々

大豹に襲われる黒人の男性。本作では『異国風景-猿とインディアン(猿とネイティブアメリカン)』とは異なり、襲われる人間(黒人)の苦痛的、恐怖的な表情などは一切描写されず、逃れるような姿態とシルエット的な人体描写によって表現されており、観る者により一方的で重圧的な捕食的態度を感じさせる。

野性味に溢れた原色的な花々。本作は画家が数多く手がけてきた密林に沈む夕日の風景の中に描く対象を配した作品で、本作には黒人男性が人間の背丈ほどはある大きな豹に襲われるというショッキングな対象を置いているのが大きな特徴である。

原始的で葉肉の厚い草木の表現。本作の野性味に溢れた原色的な花々や、原始的で葉肉の厚い、色鮮やかな草木の表現は、ルソーの典型的な密林描写であり、観る者に不可思議で夢想的な印象・心象と、非現実感を植えつける。

煌々と輝きながら暮れてゆく太陽。本作の襲われる人間(黒人)と大豹の姿態は、子供向けに出版された≪野獣たち≫という写真アルバムの中にあった、飼育員と豹が戯れる写真の姿態から取られたものであるが、本作では豹の方を向き戯れる飼育員を、顔を背けた姿に変えて描かれている。

  


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2017年11月20日

ホイッスラーが好み惹かれていた日本趣味(ジャポネズリー)的な要素

 モデルを務めたクリスティーヌ・スパルタリの表情。フリーア美術館(ワシントン)の孔雀の間(ピーコック・ルーム)マントル・ピースの上に飾られている本作は、女流画家マリー・スティルマンの姉であるクリスティーヌ・スパルタリをモデルに日本の伝統的な着物を着た姿を描いた肖像画的な全身女性像作品である。

 日本の伝統的な着物の模様。日本趣味が醸し出す東洋的雰囲気とモデルの西洋的雰囲気の類稀な融合性は特筆に値する出来栄えである。また画面全体は黄色味が支配しつつも、床面の緑色や茣蓙・着物の深い藍色、腰帯や屏風に朱色など混在となる色彩の調和と統一感は見る者に強烈な印象を与える。

 ホイッスラーが好み惹かれていた日本趣味(ジャポネズリー)的な要素。本作に描き込まれた鮮やかな黄色と深藍色の着物や朱色の腰帯、菖蒲(アヤメ)など日本伝統の花々が描かれた団扇、屏風、東洋的な茣蓙、陶磁器などはホイッスラーが好み惹かれていた日本趣味的な要素が顕著に示された良例である。  


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2017年10月08日

サウジアラビア、女性の運転禁止を解除へ

 サウジアラビアでこれまで禁止されていた女性の自動車運転が認められる見通しとなった。同国外務省が26日、ツイッターの公式アカウントで明らかにした。

 外務省によると、すでに国王が勅令を出しており、施行に向けた委員会が設置された。30日以内に委員会が勧告を出し、来年6月24日までに政府が施行する。

 国王の息子で駐米大使を務めるハレド王子は、26日の記者会見で「これは我が王国にとって歴史的な日だ」と語った。

 ハレド王子の兄、ムハンマド皇太子は今年6月に副皇太子から昇格して以来、「ビジョン2030」と題した経済改革構想を主導してきた。その目標の中には、女性の就労促進も含まれている。

 ハリド王子は女性の運転解禁も「ビジョン2030」の一環だと述べ、「女性の就業状況を変えるためには、車で通勤できるようにする必要がある」と指摘した。サウジには公共交通機関がほとんどない。

 女性が運転免許を取得するのに男性保護者の許可を得る必要はなくなるという。ただしハリド王子は「女性が運転しなければいけないというわけではなく、運転してもいいということだ」と述べ、その選択は本人次第だと強調した。

 ムハンマド皇太子はすでに、女性の行動を取り締まってきた宗教警察の権限を縮小するなどの改革を進めてきた。23日の建国記念日には、記念行事の会場となったスタジアムに女性の入場が初めて許可された。  


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2017年09月28日

姉エドマの憂いを帯びたやや寂しげで物思い耽るような表情

 本を読む画家の母親。1870年のサロン(官展)のために制作された本作に描かれるのは、椅子に腰掛け読書する画家の母親(モリゾ夫人)と、それを空虚な眼差しで見つめるベルト・モリゾの姉エドマ(ポンティヨン夫人)の姿で、画家の母親が本を読む姿から別名『読書』とも呼称されている。

 姉エドマの憂いを帯びたやや寂しげで物思い耽るような表情。このモリゾ独特の女性の控えめでありながら不安感を募らせる繊細な表現は、師エドゥアール・マネの描く女性像とは決定的に異なっており、この頃のモリゾの作品へ最も顕著に示される独自性のひとつである。

 左手薬指にはめられる指輪。本作はモリゾがサロンへ出品前にマネへ作品を見せた時、マネに多数の箇所を加筆されてしまい、一時的ではあったがモリゾは「この絵がサロンへ入選するくらいならば、川へ身を投げたマシ」と本作のサロンへの出品の取り止めの意向を示した。  


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2017年09月18日

赤い屋根、冬の効果

印象派の大画家カミーユ・ピサロの代表作『赤い屋根、冬の効果』。

画家が1872年から住み、本作は80年代まで中心的画題であったセーヌ川下流オワーズ川流域のポントワーズの裏側にあるエルミタージュ地区の風景を描いた作品のうちのひとつで、原題は『赤い屋根の家々、村の一角、冬景色』とされる。カミーユ・ピサロは印象派の画家の中でも、最も戸外での制作を支持・推奨した画家の一人で、本作もエルミタージュ地区のコート・デ・パブ(牛の丘)まで赴き制作した。

本作の画面中央部分に描かれる赤い屋根の家々は、エルミタージュ地区旧道の上方に位置する18世紀に建てられた農家で、背景の小高い丘の奥にはポントワーズの街が見える。

  


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2017年09月07日

すべてを捨ててもいいと思いました

 ダイアナ元妃にとって、心のよりどころはウイリアム王子(35才)とヘンリー王子(32才)の存在だった。結婚2年目の1982年と、それから2年後の1984年に生まれた2人の息子に、母であるダイアナ元妃はあらん限りの愛情を注いだ。乳母が子育てをする王室の伝統にとらわれず、自分の母乳で育てるスタイルに多くのイギリス国民が親近感を覚えた。だが、子宝に恵まれた一方で、チャールズ皇太子との間には埋められない亀裂が入っていた。

「子供を産む前でも、セックスは3週間に1回くらいだった。ヘンリーを産んだ後は完全に途絶えたわ。セックスレスだったの」(ダイアナ元妃のインタビュー映像より、以下同)

 新婚当初から夫婦生活は3週間に1回、ヘンリー王子を産んで8年後に完全に関係はなくなったという。それでも表向きは夫婦仲がいいように見せなければならない。一家4人の仲むつまじさ、夫婦でときおり見せる抱擁などは、すべて見せかけのものだった。皮肉なことに、取り繕う演技だけは夫婦の息がぴったりあった。

 その頃、ダイアナ元妃もまた別の男性との恋路を走ろうとしていた。それが、彼女のボディーガードを務めていたバリー・マナキー氏だった。

「今まででいちばん夢中になった中の1人について話しますね。24か25才だったころ、私は宮殿スタッフのある男性と恋に落ちました。彼は私の人生でいちばんの親友でした。すべてを捨ててもいいと思いました。(中略)彼に思いを寄せていることは、チャールズも気づいていたわ」

 だがマナキー氏は、1987年に解雇されたあと、バイク事故でこの世を去った。  


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2017年08月28日

ぶらんこ (La balançoire)

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール印象主義時代の代表作のひとつ『ぶらんこ』。

画家随一の代表作『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』と同時期に描かれ、同作同様に印象派を代表する画家で友人だったギュスターヴ・カイユボットが、かつて所有していた本作は、当時ルノワールが借りていた家(コルトー街12番地)の≪ぶらんこ≫のある大きな庭園で過ごす人々を描いた作品で、主人公となる≪ぶらんこに乗る女≫は『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』にも登場する若き女優ジャンヌをモデルに描かれたと推測されている。

本作でルノワールは木々の間から射し込み移ろう斑点状の木漏れ日の作用による光の変化や、補色的・対称的・相乗的な色彩描写の効果を追求しており、特に画面全体を覆う大きめの斑点状のやや荒いタッチによる光の効果的な描写は、今でこそ理解され観る者を強く魅了するものの、当時は類の無い表現手法から酷い悪評に晒された。

  


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2017年08月18日

日傘によって顔に影が落ちるリーズ


 日傘によって顔に影が落ちるリーズ。本作のモデルであるリーズ・トレオは1865年にマルロットで知り合って以来、画家が最も気に入っていたモデルであり、本作以外にも『狩りをするディアナ』『浴女と犬』など複数の作品のモデルを務めている。

 上品な白い衣服を柔らかく照らす陽光の表現。全体的な構図や横を向くリーズの顔の表情の表現にクールベの影響が感じられるほか、色彩を抑えた背景の処理にはカミーユ・コローの影響が指摘されている本作には、画家がこの頃から陽光が生み出す輝くような色彩とその効果に注目していたことも示されてる。

 バルビゾン派の画家カミーユ・コローの影響が指摘されている背景の表現。本作の中で際立つ衣服と黒い腰帯の明調の対比や、やや荒く仕上げられた背景の描写と色彩によってリーズがより強調されていることは注目すべき点のひとつである。  


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2017年08月08日

"万人のためのオートクチュール" 先端技術が見せるファッションの未来

 パリ オートクチュールのゲストデザイナーとなって3シーズン目となる「ユイマナカザト(Yuima Nakazato)」。今回のコレクションでは、3D技術を用いた全く新しいオートクチュールの概念を提案してみせた。

 デニムジャケットとパンツ、クラシックなフィットのイブニングドレスや、レザージャケット、MA-1、ニュールック風シルエットのアンサンブルなど、一見するとベーシックなアイテムは、しかし近くで見ると細かなピースを繋ぎ合わせてできていることがわかる。

 “3Dユニット構造テキスタイル”と呼ばれるシステムを用いて、デジタルパターンを元に生地を小さなユニットに裁断。そこから服を「縫う」のではなく「組み立てていく」という工程で制作されたものだ。パズルやレゴブロックのようにも思われるが、体のラインにぴたりと沿ったシルエットはもちろん、スカートのフレアや落ち感なども不足なく表現している。

 前回、前々回は、硬質で厚みが少ないホログラム素材を用いていたが、今回進化した技術により、コットン、ウール、レザーといった通常のテキスタイルで「普通の」服を作ることが可能になったという。特に天然素材は、ジョイント部分がほつれたりと扱いが難しく、樹脂加工をして厚みや質感を整えるなど試行錯誤の末に実現した。  


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